ラプラスさ~ん
最近、悲しいことばかりで人生が嫌になってきました
僕はどうすればいいでしょうか?
それは大変だ!
そんなつかた君に読んでほしい本があるんだ
何という本なんですか?
ズバリ!
『余命10年(小坂流加さん)』だね!
どんな内容の本なのですか?
ズバリ!
余命10年という死を猛烈に感じることで、
生きていられるすばらしさを教えてくれる本
だね♪
- 最近、悲しい出来事があったあなた
- 生きる意味を見失っているあなた
- 感動する小説を読みたいあなた
作者の情報
文庫本の”そで”には、こう書かれています。
第3回講談社ティーンズハート対象で期待賞を受賞。
本作の編集が終わった直後、病状が悪化。
刊行を待つことなく、2017年2月逝去。
私は文庫本を買う時に、”そで”の情報で病死されたのを知りました。
題名である「余命10年」の重みも通常の小説の題名とは全く違ったものに感じました。
刊行を待つことなく病死された作者の無念はいかほどか・・・
あらすじ
あらすじは次の通りです。
20歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。
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笑顔でいなければ周りが追いつめられる。
何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。
未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。
そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。
涙よりせつないラブストーリー。
感想
余命10年を告げられた主人公の生きざまがリアルに描かれています。
ここまで死と言うものをリアルに感じた小説は私にはありません。
作者が病死されたという情報も相まって、最後には涙が出ました。
“死”を猛烈に意識することで、”生”を”生きていること”を”生きていられること”に感謝しました。
そして、残りの人生を精一杯生きてみようと思いました。
この『余命10年』はラブストーリーに間違いはありませんが、”死”を意識することで”生”を意識できる『死と生の、人生の教科書』でもあります。
次に紹介する3つの言葉から、特に「生きる意味を見失っている人」におすすめできる小説です。
生きる意味を見失っている人に刺さる3つの言葉
4-1. 「あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか」
「あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか」
この文章は、「主人公が余命10年を宣告された20歳の時から1年後、発作に襲われ、大手術を経験し、体中をチューブで繋がれかろうじて生きていた」と言う文章の後に出てきます。
生きる意味を見失っているあなたは、精神的に元気ではないでしょうが、肉体的には元気な人が多いと思います。
人は終わりを意識することで、残りの時間を大切にしようと考えるはずです。
あなたも考えてみてください。
「あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか」ということを。
私はこの文章を読んだ時に意識しました。
自分の死を、残りの人生を・・・
そうすることで、残りの人生を精一杯生きようと決心することができました。
もう一度言います。
「あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか」
4-2. 「この先もわたしは誰かと繋がっていく」
たとえすれ違いの人生になったとしても、わたしとその子(主人公の姉の子供)とは桔梗ちゃん(主人公の姉)を介して繋がっている。
その子は紛れもなくわたしの甥か姪であり、わたしはその子にとって叔母になる。
わたしは子供を産めなかったけれど、叔母さんにはなれた。
その子が子供を産めばまた、その子とも繋がっていく。
そうやって枝葉が伸びていくように家族は増えていくんだ。
空席は新たな命が埋めていくんだ。そうやってこの先もわたしは誰かと繋がっていくし、かつての誰かの命が私をこの世に繋ないでくれたのだろう。
この文章は、主人公の姉が妊娠したことを知った時の主人公の思いです。
「たとえすれ違いの人生になったとしても」とは、姉の子供が生まれる前に主人公が死んでいることを指しています。
なんと切ないことでしょうか。
これが『余命10年』で最も私に刺さった文章です。
繋がりの尊さを感じた文章です。
私には子供はいませんので、この主人公と同じような状況です。
しかし、主人公と同じように思うのです。
私が誰かと会うことで、話すことで、会った人たち、話した人たちを介して誰かと繋がっているんだと。
人間と言う生き物の歴史の中の一部になっているのだと。
私の命は、誰か昔の人たちが繋いでくれたものなんだと。
そう思うことで、前向きに生きてみようと痛感しました。
4-3. 「当たり前のことにも感謝して過ごそう」
いつだってわたしはわかっていた。いつか全部できなくなる日のことを。
だから当たり前のことにも感謝して過ごそうと心がけていた。
当たり前の中にいると傲慢になってしまう時もあったけれど、それでもひとより些細なことに対して敏感に生きてこれたことはいつかこういう日がくると覚悟していたからこそで、余命10年と言われた人生でなければ築けない生き方だった。
この文章は、主人公の死が近づいている際の思いです。
私たちは死から目をそらし、さも永遠に生きていけると思ってしまいます。
そのせいで、当たり前のことに感謝することができにくいです。
今当たり前のように、目が見えて耳が聞こえて、自分の足でどこまでも歩いて行ける―
その当たり前がどれだけ素晴らしいものか、この文章は教えてくれました。
当たり前に感謝することで、生きることに前向きになれました。
さいごに
生きていると楽しいことばかりではなく、つらいことも多くあると思います。
時には生きる意味を見失ってしまう時もあると思います。
そんな時には、『余命10年』を読んでみてください。
この小説は【死と生の教科書】だと思います。
死を意識することで、生きることの大切さを教えてくれます。
『余命10年』を読んで前向きに生きていける人が1人でも増えれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき
ありがとうございました♪
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