【空前絶後の大河小説】『邯鄲の島遥かなり (貫井徳郎さん)』

はじめに

著者の貫井徳郎さんは、1993年鮎川哲也賞最終候補となった『慟哭』でデビュー。
2006年『愚行録』、2009年『乱反射』で直木賞候補作。
2010年『後悔と真実の色』で山本周五郎賞受賞した方です。

貫井徳郎さんの作品はすべて読んでいるくらい好きな作家さんです。

その貫井徳郎さんが
「小説家にとって一生に一度の作品があるなら、僕の場合はこの小説がまさにそれです。」
と述べたのがこの記事で紹介する『邯鄲の島遥かなり』です。

あらすじ

『邯鄲の島遥かなり(上)』のあらすじは次の通りです。

神生島にイチマツが帰ってきた。
神か仏のような人間離れした美貌の一ノ屋松造に、島の女たちは例外なく魅入られていく。
イチマツの子供には、みな体のどこかに同じ徴が あった。
またその子供たちにも――

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(上)は明治・大正編です。


『邯鄲の島遥かなり(中)』のあらすじは次の通りです。

栄えつつある神生島に、容赦なく戦争の足音が近づく。
島の一族の百五十年を描く驚異の大河小説、波乱の第二巻!
一ノ屋の流れを汲む一橋産業は隆盛を誇り、島の人々の暮らしも少しずつ豊かになっていた。初の男子普通選挙が行なわれ、曰くありげな少女が一橋家を訪れる。
火口への投身心中の流行を奇貨に、本土からの観光客も増えた。
そうした人々の営みと繁栄の裏側で、平和な島にも戦争が影を落とし始めていた――。

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(中)は戦前・戦中編です。


『邯鄲の島遥かなり(下)』のあらすじは次の通りです。

百五十年の時は、過ぎてみれば一瞬。
感動の終幕へ、そして新たな始まりへ。
一ノ屋の血を引く信介の獅子奮迅の活躍で、神生島は戦後の復興に歩み出した。
それぞれに重荷や悩みを抱え、決断を迫られながらも、穏やかな営みが続くかに見えたが……思いがけず、島の暮しは一変する。
明治維新から「あの日」の先まで、島に生きる一族の百五十年を描く渾身の大河小説。

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(下)は戦後・平成編です。


『邯鄲の島遥かなり』のあらすじを一言で言うと、
島に生きたある一族の150年の営みを描いた作品です。

ラプラスの一言感想

【良かった点】

●150年の人間の営みが感じられる

明治時代から令和の初めまでの150年の人間の営みが感じられます。
本当に自分自身が当事者として、150年間生きてきたような気持ちにさせられる作品です。
一族の住んでいる神生島が、時代を経るにつれて発展する様子の描写は見事です。
戦争の描写も上手く、明治時代からその一族を知っている私は神生島の人々が死ぬシーンに心を痛めました。
きっと、戦争部分だけだったらこんなには心を痛めなかったでしょう。

●様々な主人公がいる

本作品は17部に分かれており、様々な主人公が出てきます。
天才児、超能力者、超美人、野球少年などなど
同じ一族なのに、本当に様々な人がいます。
主人公が1人ではありませんので、きっとあなたにも共感できる主人公がいると思います。

●17部に分かれていて、読みやすい

本書は(上)(中)(下)合わせて、1,700ページ以上あります。
しかし、17部に分かれているため、1つの話は平均すると100ページほどです。
大変読みやすい小説となっております。

【残念な点】

●新品3冊買うと高価である
私は3冊とも新品で買いました。
合計すると税込みで約8,000円。
社会人なら買えなくもないですが、学生にはなかなか手を出しにくい金額です。
個人的には学生に読んでもらいたい小説です。
本の価格はどうしようもないことはわかっていますが、高いものは高いですね。

『邯鄲の島遥かなり』のおすすめポイント

良かった点と重複しますが、本作品は150年の人間の営みを描いています。
小説を読んでいくと、過去にこういう出来事があったから今こうなっていると感じられる箇所が多くあります。

そして、現実もそうであることをあらためて思いました。
昔の人が頑張ってきたから、今があるはずです。

『邯鄲の島遥かなり』を読むことで、歴史の流れを感じることができます。
現実の世界でも今自分がいるのは、昔の人の頑張りの上に成り立っていることを改めて知ることができる点も『邯鄲の島遥かなり』のおすすめポイントです。

さいごに

ミステリ小説が好きなあなた大河小説が好きなあなた
学生時代、歴史が好きだったなあなた
そんなあなたに『邯鄲の島遥かなり』はおすすめの一冊です。